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共同生活援助(グループホーム)では、利用者が将来的に一人暮らしなどの地域生活へ移行することを希望する場合があります。
そのような「グループホームを出た後の生活」を見据えた支援を評価する加算が「自立生活支援加算」です。
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定では、この加算が拡充され、グループホーム入居中の一人暮らし等への移行支援だけでなく、一定の要件を満たす「移行支援住居」における集中的な支援も評価されるようになりました。
この記事では、共同生活援助の事業者様向けに、自立生活支援加算の種類、単位数、算定要件、必要な対応について分かりやすく解説します。
目次
- 自立生活支援加算とは?
- 自立生活支援加算の種類と単位数
- 自立生活支援加算(Ⅰ)の算定要件
- 自立生活支援加算(Ⅱ)とは?
- 自立生活支援加算(Ⅲ)とは?
- 算定する際に注意したいポイント
- 必要となる主な書類・記録
- 自立生活支援加算は「書類を作るだけ」では算定できない
- まとめ
- 共同生活援助の加算取得を行政書士に相談するなら
1.自立生活支援加算とは?
自立生活支援加算は、共同生活援助(グループホーム)の利用者が、一人暮らしなど本人が希望する地域生活へ移行するための支援を評価する加算です。
単に「退居して一人暮らしをした」という結果だけを評価するものではありません。
本人の希望を確認し、その希望を踏まえて個別支援計画を見直し、住居の確保や関係機関との連絡調整など、一人暮らし等への移行に向けた具体的な支援を行うことが重要です。
つまり、
「本人が将来どのような生活をしたいのか」
を出発点として支援を組み立てていくことが、この加算のポイントです。
2.自立生活支援加算の種類と単位数
現在の共同生活援助では、自立生活支援加算は主に以下の3種類に分かれています。
| 加算 | 単位数 | 主な対象・内容 |
|---|---|---|
| 自立生活支援加算(Ⅰ) | 1,000単位/月 | 入居中の利用者の一人暮らし等への移行支援 |
| 自立生活支援加算(Ⅱ) | 500単位/回 | 日中サービス支援型における従来型の支援。退去後の居住の場の確保 |
| 自立生活支援加算(Ⅲ) | 40~80単位/日 | 移行支援住居における一人暮らし等への移行支援 |
自立生活支援加算(Ⅰ)は6か月間に限って算定する仕組みです。
一方、自立生活支援加算(Ⅲ)は、利用期間に応じて単位数が変わります。厚生労働省の資料では、3年以内80単位、3年超4年以内72単位、4年超5年以内56単位、5年超40単位とされています。
3.自立生活支援加算(Ⅰ)の算定要件
まず、一般的なグループホーム事業者が検討しやすいのが「自立生活支援加算(Ⅰ)」です。
自立生活支援加算(Ⅰ)の基本
自立生活支援加算(Ⅰ)は、
居宅における単身等での生活を本人が希望し、かつ、可能と見込まれる利用者について、退居に向けた支援を行う場合
に算定を検討する加算です。
具体的には、個別支援計画を見直した上で、一人暮らし等に向けた支援を行います。
算定期間は6か月間です。
本人の「希望」が重要
自立生活支援加算で特に注意したいのが、本人の意思・希望を踏まえた支援であることです。
例えば、
「グループホームの定員を空けたいから退居してもらう」
「事業所側の都合で一人暮らしを勧める」
といった考え方では、加算の趣旨とは合いません。
厚生労働省も、利用者がグループホームでの生活を継続することを希望している場合や、本人の意思が十分確認できていない場合、事業所側の都合による場合などは対象外となる考え方を示しています。
したがって、
本人の意思確認 → アセスメント → 個別支援計画 → 支援実施 → 記録
という一連の流れを意識する必要があります。
4.自立生活支援加算(Ⅱ)とは?
自立生活支援加算(Ⅱ)は、日中サービス支援型の共同生活援助が対象となる加算です。
単位数は、
500単位/回
です。
現行の仕組みでは、入居中2回、退居後1回を限度として算定する仕組みとなっています。
ここで注意したいのは、
自立生活支援加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は、単位数だけでなく対象となる共同生活援助の類型や算定の仕組みが異なる
という点です。
「自立生活支援加算だから全部同じ」と考えてしまうと、誤った算定につながる可能性があります。
5.自立生活支援加算(Ⅲ)とは?
自立生活支援加算(Ⅲ)は、移行支援住居を設けて、一人暮らし等への移行を目指す利用者に対して、一定期間、集中的な支援を行う場合の加算です。
単位数は利用期間によって異なります。
| 利用期間 | 単位数 |
| 3年以内 | 80単位/日 |
| 3年超4年以内 | 72単位/日 |
| 4年超5年以内 | 56単位/日 |
| 5年超 | 40単位/日 |
移行支援住居には一定の要件があります
自立生活支援加算(Ⅲ)は、通常のグループホームにおいて「一人暮らし支援を頑張っています」というだけで算定できるものではありません。
例えば、
- 移行支援住居を1以上設ける
- 移行支援住居の定員が2人以上7人以下
- 専従の支援を行うサービス管理責任者等の配置
- 社会福祉士または精神保健福祉士の資格要件
- 共同生活援助計画の作成に係る会議を開催した上で、個別支援計画の作成
- 住居確保に関する相談
- 外出時の同行
- 指定障害福祉サービス事業者等、医療機関等との連絡調整の支援
など、複数の要件を満たす必要があります。
そのため、自立生活支援加算(Ⅲ)を新たに取得する場合は、人員配置・住居・支援体制・個別支援計画などをまとめて確認することが重要です。
6.算定する際に注意したいポイント
自立生活支援加算を検討する場合、特に次のポイントを確認しましょう。
① 本人の意思を確認しているか
「一人暮らしをさせたい」という事業者側の希望ではなく、本人の希望が出発点となります。
② 個別支援計画と支援内容が一致しているか
計画上は一人暮らしを目指しているのに、実際の支援記録ではその支援が確認できない、という状態は避ける必要があります。
③ 具体的な支援を行っているか
住居探し、関係機関との調整、生活能力の確認、外出支援など、利用者の状況に応じた具体的な支援が必要です。
④ 支援記録を残しているか
「支援した」だけではなく、
- いつ
- 誰が
- 誰に対して
- 何を支援したのか
- 利用者の反応・意向はどうだったか
- 今後の課題は何か
などを記録しておくことが重要です。
⑤ 加算の届出だけで終わらせない
加算は、届出を提出しただけで自動的に算定できるものではありません。
実際の支援内容と記録が算定要件を満たしているかを継続的に確認することが大切です。
7.必要となる主な書類・記録
自立生活支援加算を適切に算定するためには、次のような書類・記録を整備しておくことが重要です。
主な確認書類
- 個別支援計画
- 個別支援計画作成に関する会議記録
- 本人の意向・希望を確認した記録
- アセスメント記録
- 支援記録・ケース記録
- 住居確保に関する支援記録
- 関係機関との連絡調整記録
- 外出同行等の支援記録
- 加算に関する届出書類
- その他、自治体が求める書類
特に重要なのは、「計画」と「実際に行った支援」と「記録」の3つがつながっていることです。
8.自立生活支援加算は「書類を作るだけ」では算定できない
障害福祉の加算でよくある誤解が、
「届出書を提出すれば算定できる」
という考え方です。
しかし、自立生活支援加算では、利用者本人の希望を踏まえて、一人暮らし等への移行に向けた支援を実際に行っていることが重要です。
例えば、
本人の希望を確認する
↓
アセスメントを行う
↓
個別支援計画を見直す
↓
支援を実施する
↓
支援内容を記録する
↓
定期的に評価・見直しを行う
という流れを事業所内で構築する必要があります。
行政書士が加算取得をサポートする場合も、単に書類を作成するだけではなく、事業所の実際の運営体制と算定要件が合っているかを確認することが重要です。
9.まとめ
共同生活援助(グループホーム)の自立生活支援加算は、利用者が希望する一人暮らし等への移行を支援する取り組みを評価する加算です。
特に重要なのは、
「本人の希望を起点として支援を組み立てること」
です。
また、自立生活支援加算には、
- 自立生活支援加算(Ⅰ)
- 自立生活支援加算(Ⅱ)
- 自立生活支援加算(Ⅲ)
があり、それぞれ対象となる事業所や算定要件が異なります。
そのため、
「うちのグループホームで算定できるのか?」
という点から確認することが重要です。
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