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保育・教育等移行支援加算は、障害児が現在利用している児童発達支援や放課後等デイサービスから、保育所などの移行先施設へ円滑に移行できるよう支援した場合に算定できる加算です。
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定では、退所後の支援だけでなく、退所前の移行に向けた取組も評価されるようになりました。
しかし、実際の事業所では、
- どのような支援なら算定できる?
- 保育所等訪問支援との違いは?
- どんな記録を残せばいい?
- 移行先との連携はどこまで必要?
といった疑問が生じやすい加算です。
この記事では、保育・教育等移行支援加算の算定要件、対象となる支援、算定できないケース、必要な記録、運営指導対策について、障害福祉専門行政書士の視点からわかりやすく解説します。
この記事のポイント
先に重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 保育・教育等移行支援加算 |
| 単位数 | 500単位/回 |
| 退所前の移行支援 | 2回まで |
| 退所後の居宅等訪問 | 1回まで |
| 退所後の移行先訪問 | 1回まで |
| 退所後支援の期限 | 退所後30日以内 |
| 対象 | 児童発達支援・放課後等デイサービス等 |
| 重要ポイント | 移行支援の内容と記録が重要 |
※算定にあたっては、最新の報酬告示・留意事項通知等を確認してください。現行の報酬告示では500単位です。
保育・教育等移行支援加算とは?
保育・教育等移行支援加算とは、障害児が通所支援事業所を退所した後、保育所などの移行先施設での生活へ円滑に移行できるよう、退所前から退所後まで必要な支援を行った場合に評価される加算です。
令和6年度報酬改定により、従来の退所後の相談援助だけではなく、退所前の移行に向けた会議や移行先への助言援助なども評価対象となりました。
つまり、この加算では、「退所してから支援する」だけではなく、
「退所前から移行後の生活を見据えて支援する」という考え方が重要です。
保育・教育等移行支援加算の3つの支援
この加算を理解するためには、「退所前」と「退所後」に分けて考えると分かりやすくなります。
① 退所前の移行支援
退所前に、移行先施設との間で、
- 退所後の生活に向けた会議を開催する
- 移行先施設を訪問する
- 退所後の生活について助言する
- 必要な環境調整について伝える
- 支援方法や配慮事項を共有する
などの支援を行います。
退所前の保育・教育等移行支援については、500単位/回、2回を限度として算定できます。
ここが重要!!
単なる「情報提供」ではなく、
移行後の生活に必要な支援方法や環境調整について、移行先と具体的に連携すること
がポイントです。
② 退所後30日以内に居宅等を訪問して相談援助
移行先施設に通うことになった障害児について、退所後30日以内に居宅等を訪問して相談援助を行った場合に算定できます。
例えば、
- 移行後の生活状況を確認する
- 新しい環境で困っていることを確認する
- 保護者から相談を受ける
- 移行後の課題について助言する
といった支援が考えられます。
この支援は、500単位/回、1回を限度として算定します。
③ 退所後30日以内に移行先施設を訪問して助言・援助
移行先施設との連絡調整を行ったうえで、退所後30日以内に移行先施設を訪問し、移行後の生活について助言・援助を行った場合にも算定できます。
例えば、
- 障害児の特性を説明する
- 事業所で行っていた支援方法を伝える
- 必要な配慮事項を共有する
- 移行先での支援方法について助言する
- 移行後の課題について相談する
こちらも500単位/回、1回を限度として算定できます。
保育・教育等移行支援加算の算定イメージ
ここは記事内で図表にすると、かなり分かりやすくなります。
退所前
移行先との会議・訪問・助言
↓
500単位/回・2回まで
↓
退所
↓
退所後30日以内
居宅等を訪問して相談援助
↓
500単位/回・1回まで
または
移行先施設を訪問して助言・援助
↓
500単位/回・1回まで
算定できないケースに注意
保育・教育等移行支援加算は、移行に関する支援を行えば必ず算定できるわけではありません。
特に注意したいのが、移行先の種類と他制度との重複です。
算定できない代表的なケース
こども家庭庁の資料では、以下のようなケースは算定できないと整理されています。
| ケース | 算定 |
|---|---|
| 病院等へ入院 | × |
| 他の社会福祉施設等へ入所 | × |
| 小学校・中学校・高校へ進学して学校へ入学 | × |
| 関係機関連携加算等で評価されている行為 | × |
| 保育所等訪問支援で評価されている行為 | × |
特に、「学校へ進学する=保育・教育等移行支援加算を算定できる」と考えないことが重要です。こども家庭庁の資料では、小中高に進学して学校に入学する場合は本加算を算定できないとされています。
保育所等訪問支援との違い
ここは検索ユーザーが疑問を持ちやすい部分なので、表にした方が見やすいです。
| 項目 | 保育・教育等移行支援加算 | 保育所等訪問支援 |
|---|---|---|
| 位置付け | 通所支援における加算 | 障害児通所支援のサービス |
| 主な目的 | 移行を円滑にするための支援 | 移行先等での集団生活への適応支援 |
| 支援時期 | 退所前・退所後 | サービスとして継続的に実施する場合あり |
| 支援内容 | 移行先との会議・助言・相談援助等 | 訪問先での支援・助言等 |
| 重複 | 同じ行為を重複評価できない場合あり | 同左 |
重要なのは、
「保育所等訪問支援を行ったから保育・教育等移行支援加算も算定できる」というわけではない
という点です。
こども家庭庁の資料でも、関係機関連携加算や保育所等訪問支援などで評価された行為については、本加算を算定しないと整理されています。
どんな記録を残せばいい?
この加算では、記録の具体性が非常に重要です。
移行先と連携しただけでは、実際にどのような支援を行ったのか分かりません。
記録しておきたい項目
☐ 実施年月日
☐ 支援を行った職員
☐ 対象児童
☐ 移行先施設
☐ 移行に至った経緯
☐ 移行先との協議内容
☐ 児童の特性・課題
☐ 必要な配慮事項
☐ 支援方法・環境調整の内容
☐ 移行先からの相談内容
☐ 行った助言・援助
☐ 今後の対応
こども家庭庁の資料でも、それぞれの支援について支援の要点を記録することが重要とされています。
「算定できる記録」にするためのポイント
運営指導を意識するなら、
「誰が・いつ・どこで・誰に・何をしたのか」が記録から分かるようにしておくと安心です。
例えば、
NGに近い記録
「○○保育園と移行について話し合った。」
これだけでは、支援内容が十分に分かりません。
より具体的な記録
「令和○年○月○日、○○保育園を訪問。担当職員○○氏と、A児の移行後の生活について協議した。A児は環境変化により不安が強くなる傾向があるため、活動予定を事前に伝えること、指示を短く具体的にすること等の配慮事項を説明した。保育園側から集団活動時の対応について相談があり、当事業所で実施していた支援方法を説明した。」
このように、実際に行った支援を具体的に記録することが重要です。
個別支援計画との整合性も確認
加算算定の際には、支援そのものだけでなく、
個別支援計画に移行支援が適切に位置付けられているか
も確認しておきたいポイントです。
例えば、
- 移行先
- 移行に向けた課題
- 必要な支援
- 家族の意向
- 関係機関との連携
- 移行後を見据えた支援
などを整理しておくと、支援の一貫性を説明しやすくなります。
運営指導ではここを確認
運営指導では、「本当に算定要件を満たしていたのか」を確認できる資料が重要になります。
運営指導チェックリスト
☐ 個別支援計画に移行支援が位置付けられている
☐ 保護者の同意を確認できる
☐ 移行先との連携記録がある
☐ 会議・訪問の日時が分かる
☐ 支援を担当した職員が分かる
☐ 支援内容が具体的に記録されている
☐ 移行先への助言・援助内容が分かる
☐ 退所日を確認できる
☐ 退所後30日以内の支援であることを確認できる
☐ 算定対象となる移行先である
☐ 他の加算・サービスとの重複がない
☐ 請求内容と実際の支援記録が一致している
よくある質問
Q. 保護者への説明だけで算定できますか?
原則として、保護者への説明だけで判断するのではなく、加算の要件に該当する移行支援を実施していることが必要です。
支援内容と記録をセットで確認しましょう。
Q. 保育所等訪問支援を利用している児童について算定できますか?
保育所等訪問支援で評価されている行為については、本加算を重複して算定できません。
どのサービスとして、どの支援を行ったのかを整理することが重要です。
Q. 退所後に移行先を訪問すれば必ず算定できますか?
いいえ。
退所後30日以内に移行先施設を訪問するだけではなく、移行先施設との連絡調整を行った上で、移行後の生活について助言・援助を行うことが必要です。
Q. 何回まで算定できますか?
整理すると、
- 退所前の移行支援:2回まで
- 退所後の居宅等訪問:1回まで
- 退所後の移行先施設訪問:1回まで
です。
保育・教育等移行支援加算のまとめ
保育・教育等移行支援加算は、障害児の移行を「退所前から退所後まで」支えるための加算です。
特に重要なのは、次の5点です。
POINT 1
退所前の移行支援も評価される
POINT 2
退所後30日以内の支援も対象になる
POINT 3
退所前・退所後で算定できる支援と回数が異なる
POINT 4
保育所等訪問支援や関係機関連携加算との重複に注意する
POINT 5
「何をしたのか」が分かる具体的な記録を残す
加算算定では、
「支援をした」だけではなく、「支援をしたことを記録で説明できる」
ことが重要です。
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